[レポート]Vehicle360(統合的車両データウェアハウス)におけるSnowflakeの活用
データアナリティクス事業本部ソリューション部プリセールススペシャリストの兼本です。
2020年11月25日にSnowflake社が主催するバーチャルイベント、Data Cloud Summit 2020が開催されました。
当エントリでは「Vehicle360(統合的車両データウェアハウス)におけるSnowflakeの活用」についてレポートします。
セッション概要
スピーカー
- 馬場昭典氏, Global IS/IT 部門 データガバナンス & データプラットフォーム部 主担 | 日産自動車株式会社 (Nissan Motor Co., Ltd.)
内容
中期部門計画(Nissan Digital Next)の中心的な活動であるVehicle360プログラムにおいて、データウェアハウスソリューションとしてSnowflakeを採用した背景ならびに今後の見通しについて説明します。
セッションレポート
まずはこちらの動画をどうぞ。
というわけで、事業TOPICSから始まった日産自動車さまのレポートです。
事業TOPICS
- ARIA、Z Proto、e-pedal、KICKS、LEAFなどの市場投入、ラインナップの充実
- コネクティッドカーを限定的な車種だけでなく拡大していく
- Global IS/IT部門全体で、108,235ユーザ、123,145台のPC、4,085台のサーバをサポート
- 総ストレージ容量は6,252TB
- FY11-16はVITESSE、FY17-19はnissan digital、FY20-22はNISSAN DIGITAL NEXTをキーワードに中期経営計画を推進
- NISSAN DIGITAL NEXT
- BIG DATA/x360
- データガバナンスの推進
- データを集めて必要な人にデータを届ける
クルマに関わる全てのデータの一元管理(Vehicle360)
- 自動車が生まれてから廃車になるまでのデータが存在している
- 設計データ、生産実績、品質、サプライチェーン、セールスデータ、運転データ、アフターセールスなどクルマのE2Eのデータをちゃんと管理したい
- これまでは、それぞれのシステムにログインして確認する必要があった
- DWHの機能軸で開発されたシステムだったが、ドメインを横串でデータをフォローアップできる体制が必要になった
- 全方位的ににデータを集めてユーザに届ける統合的なDWH(x360)の第一弾がVehicle360
Snowflakeを採用するに至った背景と課題
- FY15辺りからビッグデータプラットフォームの構築が始まったが当時はオンプレミス前提だった
- ハードウェアとITインフラの維持管理がメインミッション
- データの利用は各部門に任せており、データストラテジーにはあまり意識が向いてなかった
その結果:
- ある領域のデータは集まるけど、別の領域は集まらない
- ビッグデータプラットフォーム内でのデータのサイロ化
- データガバナンスを管理する役割がおらず、利用状況や実態を正確に把握できない
オンプレミスの壁:
- データの増え方や利用に関するデマンドの予測が難しい
- ハードウェア増強には時間がかかるため、ジャストインタイムで利用者のニーズにこたえることが難しい
- サーバやミドルウェアのバージョンアップなど、運用の工数が増大
Snowflake 約1年使ってみての感想#1「オンプレに比べてのスピード感が半端ない」
- 現時点ではすべてのデータを取り込んでいないが、社内のBIで利用している
- オンプレミスと比較して、導入までのスピードが速い(=契約して設定すればすぐに使える!)
- ネットワークのコンフィギュレーションは最低限必要だけど、Plan to deliveryのスピード感・価値がすごい
- 「オンプレミスの時のようなデマンドディスカッションとか、使えるまでに半年掛かるなんでウソでしょ!?」
約1年使ってみての感想#2: 「これまでと比べて運用が楽!」
- 問題が起きた時にハードウェア、ミドルウェア、データの切り分けをしなくてもいいのがありがたい
- 製品レイヤーごとの専門家をチーム内で抱えておく必要もない
今後
- Vehicle360の充実
- データを集めるところは形になってきたので、次はどう使うのかを考えたい
- データシェアリング!
- 企業、業種を超えて、いろんな産業を超えたユースケースを実現したい
- 取り出しにくいデータ戦略よりも、セキュリティを担保したうえでデータをシェアし、新しいビジネスを推進したい
まとめ
日産自動車さまのSnowflake活用事例についてご紹介を致しました。自動車業界はコネクティッドカーやオートパイロット技術など、これからが楽しみなテクノロジーがたくさんあります。
この技術の実現には蓄積された大量のデータをいかに効率よく利用し、シェアできるかが重要と考えますので、その点において、Snowflakeのスケーラブルで柔軟なクラウドデータウェアハウスを導入して効果的に利用した事例は素晴らしいですね。
今後の展開として話題に挙がったセキュアデータシェアリングによる企業・産業間の連携についても近い将来に事例を拝聴できるのを楽しみにしています。
以上、最後までお付き合いいただきありがとうございました。